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「運命とは、命を運ぶと書く。自分の命を自分で運んで、自分の道を自分で切り開くしかない。」大空のサムライ!坂井三郎さんから学ぶ

 先日、今年大学に入学した長男を連れ、靖国神社へ参拝して参りました。この国の平和について改めて親子で考えるたいへん有意義な時間となりました。

 

「運命とは、命を運ぶと書く。自分の命を自分で運んで、自分の道を自分で切り開くしかない。」零戦のエースパイロット、撃墜王として世界的に知られる『対空のサムライ』と謳われた坂井三郎さんの言葉です。少し前に、百田尚樹さんの『永遠の0』や宮崎駿さん監督の『風立ちぬ』など、若い人たちを中心に零戦ブームが巻き起こったことがありました。塾生の中にも映画を見に行った人、小説を読んだ人も何人かいました。今でもなお零戦が日本人の心を引き付ける理由はいろいろ考えられますが、私はその戦闘機乗りの生き方に惹かれるところが多分にあるのではないかと思います。

 このブームを知り私の脳裏に真っ先に浮かんだのが、零戦の搭乗員として絶対絶命の危機から何度も生還を果たした坂井三郎さんです。その生き方は私たちに、まさに命の大切さや、危機に逢ってもいかに対処しあきらめずに活路を見出すかという勇気を与えてくれます。

 坂井さんは昭和17年、ガダルカナル上空で待ち伏せしていた複数の敵機に単機で挑み、集中砲火を浴び、頭に被弾し左半身は麻痺状態となり、右目は多数の金属片が突き刺さり視界が利かなくなったそうです。頭部の傷は指がズルッと入ってしまうほどで指先に柔らかく脳みそを感じるほどだったそうです。それでもマフラーで止血し薄れる意識を奮い立たせ、約5時間かけて味方のラバウル基地に生還を果たしました。

 坂井さんは戦後、どんなに予想外の出来事が起こっても、その時にどうしてこうなったのかと考えることより、今何をなすべきか、悪化を防ぐためにどう行動するかを考えることが先決であると常々言っていたそうです。私たちはよく「運命」というと決められているのだからといって諦めがちですが、冒頭の坂井さんの言葉は、現代社会で遭遇する様々なピンチを乗り越えるためのヒントを私たちに投げかけてくれているような気がします。まさに零戦で命を運び、命を大切にして生きた坂井さんの言葉には本当に説得力がありますね。